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チェルノブイリ原発事故後、子供の甲状腺がんが増えたそうですが、どうしてですか? |
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事故当時小児だった世代における甲状腺が多発しました。今後も注意深いフォローアップが必要です。 |
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1986年4月26日未明、人類史上最悪の原発事故がウクライナのチェルノブイリで起きてから、25年以上になります。
チェルノブイリ周辺の土壌汚染地図によると、隣国のベラルーシ共和国ではゴメリ州が最も汚染が高かったことがわかっています。
長崎大学では、ゴメリ州の医療機関と共同で行ったゴメリ州に住む事故当時0-10歳だった住民約10,000名と、事故後に生まれた住民約10,000名の甲状腺を、超音波装置(エコー)を用いて調査し、甲状腺がんの頻度を比較しました。すると、事故当時0-10歳だった住民では10,000名中約30名に甲状腺が見つかったのに対し、事故後に生まれた住民では1例も甲状腺がんは見つかりませんでした。このことは、甲状腺がんの原因が、事故直後には存在したが、その後時間と共に消失してしまったものである、ということを示唆しています。チェルノブイリ原発事故によって環境中に放出された放射性物質のうち、最も多かったのは放射性ヨウ素で、次いで放射性セシウムが多かったことが分かっています。放射性ヨウ素のうち、最も問題となるヨウ素131の半減期は約8日、それに対して放射性セシウムの半減期はセシウム134が約2年、セシウム137は約30年です。つまり、チェルノブイリにおける甲状腺がんの増加は、放射性ヨウ素が原因であったと推定されるのです。もともとヨウ素は体の中に入ると甲状腺に集まりやすい、という性質がある上に、チェルノブイリ事故当時、旧ソ連邦政府が放射性物質によって汚染された食物や飲み物、特に汚染された牛乳の摂取を制限しなかったために、牛乳の摂取が多い小児を中心に高濃度の放射性ヨウ素の摂取による甲状腺の内部被ばくが起こったと考えられます。事故から25年以上が経過した現在、事故当時小児だった世代は20代後半から30代、つまり青年期から中年期にさしかかっていますが、この世代における甲状腺がんの増加が示されており、いわば好発年齢がシフトしている、といえます。
WHO(世界保健機関)は、事故から25年が経過した2011年に、事故当時0-15歳だったチェルノブイリ周辺住民において、甲状腺がんで手術した症例が約6,000例、そのうち甲状腺がんが原因で死亡した症例が15例であったと発表しています。その一方、チェルノブイリ周辺では、長崎・広島の原爆被爆者とは異なり、白血病や他の固形がんの増加は科学的に証明されていませんし、良性疾患の増加や遺伝的影響についても増加は証明されていません。しかし、実際に甲状腺がんを手術した住民を長期間にわたってフォローアップし、再発等がないかどうかを注意深く観察することが必要です。さらには、原発事故直後から発電所内で働いていた除染作業者の健康モニタリングにも、引き続き力を入れていく必要があります。 |
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